お尻拭き、お尻洗い あれこれ


 トイレットペーパーは何枚重ねれば良いの?

 

文献1  ノロウイルス透過試験(東京都健康安全研究センター)PDF(15ページ)

トイレットペーパーによる拭き取りの際、中指、小指では10枚重ねた場合でもウイルスが検出されました。また、ウイルスが付着した手指がドアノブを汚染し、ドアノブを操作した他者の手指を介して食品が汚染されました。

 

文献2  日本トイレ協会メンテナンス研究会報告レポート〔第 140 回〕 2011 年 1 月 27 日(PDFの3ページ中段)

トイレットペーパーで36枚(約6m)でようやく大腸菌群が検出されなくなります

 

文献3  実践衛生管理の基礎知識(花王の手洗い啓蒙資料Vol.8)PDF

大腸菌は10枚以上を透過し、手指に付着します。(図より、24枚で1~10個検出、27枚で検出されず)

 

文献4 ここがおかしい菌の常識 (集英社文庫):青木皐 (52~53ページ)

その結果はじつに36枚目にしてはじめて菌の姿が見つからなかったというものだ。36枚重ねて5回も拭くとトイレットペーパー1個半という計算だ

 

大腸菌は常在菌ですから 0個にならなくても手を十分洗えば良いのかもしれませんが、片手でその手自体をよく洗うのは至難の技でしょう。また稀でしょうがノロウイルスはそう簡単に考えては危険だとも思えます。上記の文献は何れも下痢時を想定したものと思われますが、常時でも濡れを拭く初回拭きには十数枚程度は重ねたいものです。(ロッコロではシングル使用で6~9廻)

 

お尻のシャワーが普及しましたが、下痢時の広汚範囲にはシャワーの広がりが届かずお尻の洗浄が十分できません。ウイルスの透過を阻止するには常時の倍程度の枚数を確保したいものです。

 


トイレットペーパーの使用量ってどれくらい?

 

 ある本 「現代のトイレ事情―災害・イベント編 」(ISBN4-8090-2089-4) のp18の記述によると

「トイレットペーパー:世界人口の三分の一弱が使っているといわれており、その消費量は、日本では男性一日平均3.5m、女性一日12.5m(これは地球の赤道10周分の紙が毎日便器に放流されているという勘定)と言われている」とあります。

 販売消費量を人口で割った値 3km/人年 であるとも聞きますが、 365日で割ると 8.2m/人日から考えてもオカシクない数字とも思えます。(シングル相当のペーパーなのかな?)

 ネット上には多くのアンケート調査による使用量が掲載されていますが1回量が、お尻を拭く一回なのか、トイレの入出の1回なのかよく分からないものが多いです。日本で一番使用量が少ないのは佐賀県とか、世界で一番多く使う国はブラジルであるとか、面白い記述もあります。

 大手メーカーの日本製紙クレシアさんのアンケート結果では、大の場合は約200cm、小の場合は約100cmでシングルでもダブルでもあまり差がないという結果(東洋経済記事)ですが、この1回量も拭く1回なのかは不明です。

 


お尻洗いの時間、長過ぎると病気の悪化も!

 

 温水洗浄便座でのお尻洗いの時間は20秒以内が多いそうです。国民生活センターのモニターテストによると【洗浄目的は「紙で拭う前の補助的な洗浄用」が目立ち、「完全な洗浄用」はやや少なく、このため利用時間も想定より短めとなった。湯温調節は中から低、水勢調節は中から強のレベルが多く用いられていた】とのことでした。

 温水洗浄が必要以上に長いと、肛門周囲を弱酸性に保つ常在菌が洗い流され皮膚の防御機能を失って傷み、感染などを起こしやすくなります。また「肛門掻痒(そうよう)症」という病気が悪化してしまうこともあるそうです。これはいろいろな原因で肛門にかゆみを感じる病気で、かゆみを感じた時に温水洗浄の刺激が気持ち良いし清潔にもなるっという意識で長く洗ってしまう、そして傷んだ肛門の皮膚に水分が入り込み症状を悪化させてしまうそうです。温水洗浄が原因で引き起こすわけではなく、痒くなるのは下痢・痔病・頻便・生理用品での蒸れなどが原因だそうです。肛門にかゆみを感じたら洗浄時間は10秒以内とする必要があるとのことです。(出典/参考:国民生活センターHP  ●〇●どこやった?  NHKためしてガッテン(2015年09月02日放送)

 


温水洗浄便座の普及率、水洗化率

 

トイレナビ(日本レストルーム工業会)の統計資料、総務省統計局住宅設備資料からの参考/引用です。

 ※グラフは一般世帯の普及率、

保有状況(100世帯当り保有数)

データ出典:内閣府 消費動向調査

 

温水洗浄便座は、1967年に伊奈製陶(現:LIXIL)が国産初の温水洗浄便座付洋風便器「サニタリーナ 61」の発売を開始、以後、国民の清潔志向の高まりや、消費者ニーズに対応した機能性・快適性の向上も相まって、徐々に普及しています。

内閣府の調査結果(平成24年3月)によると、温水洗浄便座の一般世帯での普及率は73.5%となり、水洗化率90.7%(平性20年/総務省)を追いかけています。

 お尻のシャワーは100世帯あたり100台を超える時代になっているのですね。また、オフィスビルや商業施設、ホテル、鉄道、駅舎、2010年代からは旅客機 といったパブリックにも採用されてきています。